2016年1月9日土曜日

2016年9月から実施のJAL国際線アップグレード特典改悪はどんな悪影響を与える変更なのか



2015年11月からのJALマイルを利用した国際線特典航空券上位クラスの必要マイル数改悪実施からそれほど時間が経過しない状況で、新たな改悪が発表されました。

それが、JAL国際線アップグレード特典の必要マイル数増加です。

つまり、2015年は国際線特典航空券、そして2016年は国際線アップグレード特典のそれぞれが改悪されてしまうということになります。

気になるJAL国際線アップグレード特典の改悪内容ですが、
1、必要マイル数の増加
2、海外発国際線航空券アップグレード優遇廃止
3、取り消しや払い戻し期限の新規設定
という3つです。

参考リンク:
JAL国際線アップグレード特典のお知らせ
JALさんより)


特に管理人が注目したい改悪は、1つめの、 必要マイル数の増加でした。

というのも、今回の改悪では増加する割合が意外に大きくなっているため、最も分かりやすく改悪の悪影響を実感させられるものになっているからです。

もちろん、JAL国際特典航空券の改悪時と同様に、救済策としてアップグレードを対象にしたディスカウントキャンペーンが開催されることになっていますが、あくまで2017年3月31日までの期間限定のキャンペーンとして設定され、さらにハワイやグアムなど人気のある目的地が除外されているなどの制限が存在しているため注意が必要です。

ちなみに、今回の改悪とは別に、昨年同様に開催されているJMB上級会員の方を対象としたアップグレードディスカウントキャンペーンと比較した場合、対象となる目的地は同じものの、割引率がお得に設定されているため、上級会員の方限定のメリットが大きく失われたわけではありません。

そこで、お得度の高さから管理人を含め、多くの方がターゲットにすると思われるエコノミークラスからビジネスクラスへのアップグレード利用に必要なマイル数を
  • 改悪前(2016年8月31日以前)
  • 改悪後(2016年9月1日以降)
  • 一般会員対象ディスカウント(2016年9月1日以降)
  • 上級会員対象ディスカウント(2016年9月1日以降)
について目的地のゾーンごとに片道分を比べてみることにしました。

その結果はというと、
韓国
  • 改悪前:10,000マイル
  • 改悪後:12,000マイル(改悪前比 20%増)
  • 一般:9,000マイル(改悪前比 10%減)
  • 上級:6,000マイル(改悪前比 40%減)
アジア1
  • 改悪前:10,000マイル
  • 改悪後:12,000マイル(改悪前比 20%増)
  • 一般:9,000マイル(改悪前比 10%減)
  • 上級:6,000マイル(改悪前比 40%減)
グアム
  • 改悪前:10,000マイル
  • 改悪後:12,000マイル(改悪前比 20%増)
  • 一般:対象外
  • 上級:対象外
アジア2
  • 改悪前:17,500マイル
  • 改悪後:20,000マイル(改悪前比 約14%増)
  • 一般:17,000マイル (改悪前比 約2.9%減)
  • 上級:12,000マイル(改悪前比 約31%減)
オセアニア
  • 改悪前:20,000マイル
  • 改悪後:25,000マイル(改悪前比 25%増)
  • 一般:19,000マイル(改悪前比 5%減)
  • 上級:15,000マイル(改悪前比 25%減)
ロシア
  • 改悪前:20,000マイル
  • 改悪後:25,000マイル(改悪前比 20%増)
  • 一般:19,000マイル(改悪前比 5%減)
  • 上級:15,000マイル(改悪前比 25%減)
ヨーロッパ
  • 改悪前:27,500マイル
  • 改悪後:33,000マイル(改悪前比 20%増)
  • 一般:27,000マイル(改悪前比 約1.8%減)
  • 上級:17,000マイル(改悪前比 約38%減)
ハワイ
  • 改悪前:20,000マイル
  • 改悪後:25,000マイル(改悪前比 25%増)
  • 一般:対象外
  • 上級:対象外
北米
  • 改悪前:25,000マイル
  • 改悪後:30,000マイル(改悪前比 20%増)
  • 一般:24,000マイル(改悪前比 4%減)
  • 上級:15,000マイル(改悪前比 40%減)
という形になりました。

管理人注:
ビジネスクラスへのアップグレード利用時には、 ハワイとグアムに加えて、
ニューヨーク、ボストン、ダラス・フォートワース、シカゴ、ロンドン、パリ(羽田発着のみ)、ロサンゼルス(羽田/成田発着のみ)、ヘルシンキ
といった一部目的地を対象にした旅程では利用不可になっているなど、それぞれのクラスごとに目的地の制限が存在するため注意が必要です。

参考リンク:
JAL国際線アップグレード特典 マイル早見表
アップグレード ディスカウントキャンペーン(一般会員用)
アップグレード ディスカウントキャンペーン(上級会員用)
JALさんより)


ビジネスクラスだけを見比べてみても、改悪による必要マイル数の増加率は、最も少ないアジア2でも約14%増、 最も多いオセアニアとハワイに至っては25%増にもなっていることがわかります。

その他大半の目的地も一律20%増など、改悪全体の影響の大きさは、2015年の国際線特典航空券改悪時と同等と考えて問題はないはずです。

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ちなみに、期間限定のディスカウントキャンペーンの割引率を改悪前の必要マイル数を元に比べてみると、目的地によって異なるものの、
一般会員:1.8%から10%割引
上級会員:25%から40%割引
という圧倒的な差がつけられている結果ですから、やはり上級会員向け特典の凄みを感じますね。

この他に、必要マイル数の増加の改悪に関係する注意点としては、キャンセル待ちの申し込み時期が必要マイル数が改悪前のお得なものになるのか、それとも改悪後の残念なものになるのかにも影響していることも挙げられます。

というのも、改悪が行われる前の2016年8月31日以前にキャンセル待ちの手続きを行い、改悪後の2016年9月1日以降に座席が確保できた場合、
  • 2016年3月31日までの手続き:改悪前の必要マイル数
  • 2016年4月1日以降の手続き:改悪後の必要マイル数
という特別なルールが適応されてしまうからです。

つまり、キャンセル待ちを行うなら2016年3月31日までが安心ということですね。

もちろん、2016年8月31日までに座席が確保できた場合には、この制限の影響は受けませんから、3月31日以前と4月1日以降などのキャンセル待ちの手続き時期に左右されることなく、改悪前の必要マイル数でのアップグレードが可能です。


その他の改悪について簡単に見てみると、2つめの、海外発国際線航空券アップグレード優遇廃止は、一般的な海外発国際線航空券のアップグレード利用だけではなく、アップグレード条件に大きな優遇のある海外発券の海外発国際線航空券を利用していた方にとっても、大きな影響がある改悪と言えるかもしれません。

ただ、最近は円安による海外発券のお得度の低下だけではなく、その国の在住者限定など利用者制限が強化されていく傾向もみられますから、その制限の一環かもしれないと管理人は考えています。


3つめの、取り消しや払い戻し期限の新規設定は、明確に変更や払い戻しの締め切りを提示することで、出発当日のキャンセルを防ぎ、できるだけ早い時期に空席をより確度の高い状態で確定しておきたいというJALさん側の意図が見えるように感じています。

これは、当日の空席状況によって、空港のチェックカウンターなどで利用可能になる、
  • JAL国際線特典航空券 上位クラスへの変更 空港当日申し込みサービス
  • JAL国際線アップグレード特典 空港当日申し込みサービス
といったサービスを利用できる可能性の上昇に繋がるはずです。

参考リンク:
アップグレード特典マイル引き落とし後の変更
未使用特典の払い戻しサービス
JAL国際線特典航空券 上位クラスへの変更 空港当日申し込みサービス詳細
JAL国際線アップグレード特典 空港当日申し込みサービス詳細
JALさんより)


その結果、今後の傾向としては、上位クラスを空席のままで飛行機を飛ばすことが減少するだけではなく、市場に出回るマイル回収目的と有償の上位クラスの需要調節弁目的で、JALさん側によって積極的に上位クラスをマイルでのアップグレード枠として活用されていくことも期待できるかもしれません。

とは言え、これらのサービスの利用には、特典航空券の場合はクラス間の必要マイル数の差額分、そしてアップグレード特典の場合は純粋にアップグレードに必要なマイル数が必要ですから、空港での選択肢を広げるためには、常に使い切るのではなく、とりあえずある程度のマイルを温存しておくことがおすすめと言えそうですね。


ちなみに、今回のJAL国際線アップグレード特典改悪に対する管理人の正直の感想としては、改悪が行われてお得度の低下していた国際線特典航空券と比べた時のアップグレード特典の優位性は、改悪後に大きく失われてしまうのは間違いないと考えています。

特に、エコノミークラスからビジネスクラスへのアップグレードでは、割高な運賃のみの利用に制限されていますから、その運賃負担に加えて改悪分のマイル負担までもお得だと正当化するのはなかなか難しいというのが管理人の正直な部分です。

もちろん、ビジネスクラスからファーストクラスへのアップグレードの場合、基本的に割引も含めたすべてのJALさんが販売するビジネスクラス運賃からのアップグレードが可能ですが、国際線のファーストクラスは、運航されている路線自体が長距離線を中心としたものに限られ、さらに搭載される食事やサービスの問題で、当日空港も含めたアップグレードで提供される席数数自体が少なく、競争率はとてつもなく高いものになってしまうはずです。

そのため、今後JALマイルを活用する場合は、割高になったことを覚悟の上で、これまで同様の国際線特典航空券の繁忙期上位クラス利用や、あらかじめ有償でビジネスクラスを予約した上で運良くファーストクラスへのアップグレードが確定することを祈るというのが、お得度を優先した時の選択肢になるかもしれませんね。




追記:続きの記事を書きました
JAL国際線アップグレード特典の改悪では一体何が狙い撃ちされているのか

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